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売買トラブル

その9 買付証明・売渡証明の効力は?

 土地や建物の売買の時に、買主からの『買付証明』や売主からの『売渡証明』

の書類がやり取りされる事が良くありますよね。『買付証明』とは、簡単にいう
と『○○の不動産を○○円で買うことを承諾します』という買主の発行する書面
であり、『売渡証明』とは、売主が売渡すことを承諾したという書面です。  
 これらの書類は、契約書の作成や手付金の授受に至る前の段階で取交されるこ
とになりますが、買主があとで気が変わり買受けの申込みを撤回した時に、トラ
ブルが発生することがよくあります。つまり、買主が『買付証明』を発行してい
ることを業者がタテに取り、契約の締結や違約金の支払いを買主に迫る。
という
事例です。実は、当社に寄せられた相談の中にも、売買価格の2割の違約金を業
者から請求され『泣く泣く契約をしてしまった』という声がありました。   
 一般的に契約とは、『申込みの意思と承諾の意思の合致』で成立し(民法52
1条〜)契約書の作成を必要としませんが、宅地建物取引業法37条は一定の事
項を記載した書面(契約書)の交付を義務付けています。また、同35条では契
約の成立前に買主に対して『重要事項説明書』を交付し、『取引主任者』が説明
することを義務付けています。                      
 さらに、裁判所も『買付証明』や『売渡証明』が相手方に交付されていても、
どちらか一方だけだったり、あるいはその両方が互いに交付されていても『売買
契約に不可欠な確定的な意思表示がなされたものとは認められない』として、判
例は売買契約の成立を否定しています。そして『不動産売買契約書』という書
類が作成されている場合であっても同様の判決が出ています。        
 こうしたことからも『買付証明』や『売渡証明』は、他の買受け希望者を排除
して、相手方と交渉を進めるという意思を表明した書面
と考えられています。し
たがって、『買付証明』や『売渡証明』があるからといって、契約成立前に『意
思の撤回』をしたからといって、違約金を支払う必要はありませんし、買付の申
込み時に申込金を払っていた場合にも、その返還を請求できます。      
 ただし、契約成立前であっても双方に、相手方の『契約の成立に対する期待』
を裏切らないように『誠実に努める義務』がありますから、『申込みの意思と承
諾の意思の合致』が成立し、契約書作成の準備を進めておきながら、その直前に
なって『正当な理由も無く』契約の意思を撤回した場合は、民法415条の『債
務不履行責任』あるいは民法709条の『不法行為責任』
により、相手方がその
 契約の準備のために支出した費用を損害として、請求されることもありますので、
不動産の買受申込みは、くれぐれも安易な考えで行わないようにして下さい。 
 アナタと私の平和的な関係のために・・・  m(_ _)m